研究室訪問

情報デバイス研究部門

量子光情報工学(枝松・三森・Sadgrove)研究室

量子光情報工学研究分野 教授 枝松 圭一
量子レーザー分光工学研究分野 准教授 三森 康義
量子ナノフォトニクス研究分野 准教授 Mark Sadgrove
学際科学フロンティア研究所 助教 松本 伸之

http://www.quantum.riec.tohoku.ac.jp/

新たな量子計測技術の開発と不確定性関係の検証

光子の偏光測定における誤差と擾乱の不確定性関係の計測結果。計測結果(黒丸)はハイゼンベルクの不等式(青線)を破り、小澤(赤)およびブランシアード(紫、緑)の不等式を満たす領域にある。

図2 光子の偏光測定における誤差と擾乱の不確定性関係の計測結果。計測結果(黒丸)はハイゼンベルクの不等式(青線)を破り、小澤(赤)およびブランシアード(紫、緑)の不等式を満たす領域にある。

 量子情報通信における「測定」とは、単に信号の受信という意味を超えて、測定結果が確率的であったり、測定によって系の状態が不可逆的に変化してしまうといった、量子に特有の特徴をもっています。また、量子測定における、ある物理量の測定誤差と他の物理量の擾乱との間の不確定性関係は、量子論の本質的性質であるのみならず、量子計測、量子情報通信への応用上も重要な意味をもっています。本研究室では、光子の偏光を用いて、測定の強さを自由に設定可能な測定(一般化測定)方法を開発し、誤差・擾乱の不確定性関係を検証する実験を行いました。その結果、量子力学の誕生以来信じられてきたハイゼンベルクの関係式が破れ、近年新たに提唱された関係式(小澤の不等式およびブランシアードの不等式)が成立していることを明確に検証しました(図2)。

 また、ミリグラムオーダーの巨視的機械振動子(振り子)を量子的状態が観測できる程度までレーザで冷却して、その運動状態を計測する技術の開発にも着手しました。巨視的物体に対する量子測定や不確定性関係の実験を行い、重力理論の検証など、量子測定技術の新たな応用を拓くことが目標です。

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