実世界コンピューティング研究分野 教授 | 石黒 章夫 |
実世界数理モデリング研究分野 准教授 | 加納 剛史 |
図2:優れた耐故障性を示すクモヒトデ型ロボット
現在の人工物は、極力壊れないように設計するのが一般的です。このため、システムの一部でも故障すると、その影響は全体に波及して機能不全に陥ってしまうことになりがちでした。この現状を打破するために、われわれはクモヒトデという棘皮動物の一種に着目した研究を進めてきました。クモヒトデは捕食者に襲われたりすると、腕を自ら切り離し(自切といいます)、残存する腕の本数に応じて新たな運動パターンを瞬時に生成して逃げ回ります。このような奇妙奇天烈な生き物ゆえに「故障してもなんとかなる」システムの設計原理のヒントが露わに表出している、得難いモデル生物であるとわれわれは考えました。最近、その核心に迫る制御原理を構築することができ、それをクモヒトデ型ロボット(図2)に実装してみたところ、実際のクモヒトデのような優れた耐故障性を示すことがわかりました。この成果は英国の科学誌 Royal Society Open Science に掲載されました。