研究室訪問

ナノ・スピン実験施設

半導体スピントロニクス(大野)研究室

スピン機能工学研究部 教授 大野 英男
助教 山ノ内 路彦

http://www.ohno.riec.tohoku.ac.jp/

金属スピントロニクス

図2

図2 垂直磁気異方性CoFeB-MgO MTJ構造の断面透過型電子顕微鏡像です。(Nature Materials 2010)

 次世代VLSIの開発では、低消費電力化と配線遅延低減が主要な技術課題です。不揮発性スピントロニクス素子は、不揮発であるほか、高速であり、書き換え耐性に優れ、今後のさらなる微細化に対応できるなど、他の不揮発性メモリにはない特徴を有しています。このメモリをCMOS回路の配線層に組み込むことで上述の問題を解決できる見通しがついてきました。スピントロニクス素子として磁気トンネル接合(MTJ)がいま最も注目されています。MTJは数原子層の極薄の絶縁層を2枚の強磁性金属層で挟んだ基本的構造からなり、電子のスピン依存トンネル伝導に起因したトンネル磁気抵抗(TMR)効果を示します。私たちはCoFeB-MgOを用いて室温で世界最高のTMR比を実現し、さらに、同様の系でCoFeBの薄層化により極めて高い性能を有する垂直磁気MTJが実現できることを示しました (図2)。これにより不揮発性VLSIが実現するものと期待しており、他の研究グループと共同でその実証を進めています。また素子自身もさらなる微細化(< 20nm)に対応するため、熱安定性などの更なる向上を目指して、材料・素子構造の研究開発を進めています。

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