研究室訪問

情報デバイス研究部門

物性機能設計(白井)研究室

物性機能設計研究分野 教授 白井 正文
  助教 阿部 和多加
  助教 辻川 雅人

http://www.shirai.riec.tohoku.ac.jp/

希少元素を含まない新磁石材料に関する研究

図1 軽元素を2.6at%添加したL10-FeNiの一軸磁気異方性エネルギーKu

図1 軽元素を2.6at%添加したL10-FeNiの一軸磁気異方性エネルギーKu

 Dy添加Nd-Fe-B磁石は自動車モーターや電子機器など幅広く使用されておりますが、元素戦略的な観点からレアメタル・レアアースフリーな代替磁石材料の開発が求められております。Fe-Co, Co-Ni, Fe-Ni系およびMn-Ga,Mn-Ge系合金をベースとした新規永久磁石材料の理論設計を進めています。一例として、高磁気異方性と高い飽和磁化を持つ材料として注目されているL10-FeNi について、第三元素添加による規則・不規則相のエネルギー差および磁性への影響などを調べています。これまでに、Ti, V, Al, Siを添加することで規則相が不規則相に比べより安定化することを提案しています。また、軽元素B, C, Nを添加することにより一軸磁気異方性エネルギーが増大することを見出しています(図1)。

水素化合物の金属化、超伝導に関する研究

 水素化合物は、圧力誘起金属化すると高い超伝導転移温度を示すと予想されています。この根拠は、水素の軽さによりフォノンの振動数が高くなること、水素が内殻電子を持たないため電子―イオン相互作用が大きくなること、そして圧縮により単位体積当たりの状態密度が大きくなることの3つからなります。これまで第一原理計算による金属相の探索を実行しており、B、Ge、Sb、Bi 水素化合物に対し、100 ~ 350GPa領域での金属化及び超伝導の可能性を指摘しました。いずれも電子ー格子相互作用に基づく超伝導としては転移温度が非常に高く、特にB、Ge水素化合物では転移温度が100K程度に達するとの見積りを得ています。

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