巻頭特集1-2/所長退任の挨拶

 私の所長在任の3年間で一番研究所の運営に腐心したのは、やはり平成23年3月11日に発生した東日本大震災以降の対応でした。就任当初私が掲げた全体スローガンは「明るく、楽しく、前向きな通研の実現にむけて」であり、そのポイントは、

  1. 若手研究者を伸ばす施策・ボトムアップ。通研の未来は若者が担う!
  2. 研究所の速やかな青葉山移転。いい環境ですばらしい研究を!
  3. 世界に羽ばたく通研になろう。RIECを世界に発信しよう!

の3つとしました。最初の1年は特段問題もなく過ぎようとしました。しかし、3.11は通研の将来を大きく揺さぶりました。それまでは上にもあるように、青葉山移転が前提でしたが、諸般の事情により片平に残ることになりました。しかし建物は老朽化しており、移転しない場合はそのまま築50年以上の建物に住み続けなければなりませんでした。そこで大学本部と何度も交渉し、新棟建設が認められました。今は工事が始まり来年の秋には竣工予定です。新棟で新たな気持ちで先端研究に邁進するのを夢見ています。

 もう一つは電気通信研究機構を設立したことです。東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強い情報通信ネットワーク、情報通信システムを実現していくことが、我々東北大学電気・情報系の重要な使命です。平成23年10月、電気通信研究所、工学研究科、情報科学研究科、医工学研究科、サイバーサイエンスセンターから約50名の教授・准教授の参加を得て、電気・情報系の総力を結集する形で、「電気通信研究機構」を設立しました。本機構は、「災害に強い情報通信ネットワークの構築」を通じて、被災地である東北における情報通信・エレクトロニクス産業の創出、興隆、さらには世界をリードする革新的研究開発に貢献することを目的としています。

 また、平成24年1月には、東北大学と独立法人情報通信研究機構(NICT)の間で、包括連携を結びました。この協定は、災害に強い情報通信技術の研究開発を、NICTと連携して推進していくことを目的としています。現在、NICTは片平キャンパス内に世界有数のテストベッドを有する「耐災害ICT研究センター」を建設中です。更に日本海洋研究開発機構(JAMSTEC)との連携協定やフランステレコムとの共同研究も進行中です。その一方で、国際化の推進として、東北大学重点戦略支援プログラムに採択され、MITのResearch Laboratory of Electronics(RLE、電子工学研究所)と共同の研究を進めています。

 その他の所の施策としては、RIEC AWARDの創設、RIEC NEWS創刊、産学連携推進室・国際化推進室・学生相談室を発足させました。加えて、若手研究者の育成と研究の活性化策として、独創的研究支援プログラム、研究交流会、特別昇任准教授制度、助教(プロジェクト特任)制度等も立ち上げさせて頂きました。

 以上のように、この3年間で片平南キャンパスは大きな変革を遂げ、新たな通研が出発し始めています。在任期間中に頂いた所員ならびに皆様からのご厚情・御支援に改めて深く感謝致します。今後は、本来の研究業務を明るく、楽しく、前向きに進めていきたいと思っています。

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