巻頭特集/最先端・次世代研究開発支援プログラム

3. 研究成果

(1)コヒーレント光パルスによる1.92Tbit/s, 64QAM超高速多値伝送

図1 超高速・高密度光伝送の実現に向けた取り組み

図1 超高速・高密度光伝送の実現に向けた取り組み

 従来の超高速光パルス伝送は、光のオン・オフで1と0のディジタル情報を伝送する、1パルスあたり1ビットの伝送が主流でした。一方最近の光通信では、無線のQAMように、光の振幅だけでなく位相も多値で変調し、受信部で光信号の歪み補償と復調をディジタル信号処理で行うディジタルコヒーレント伝送技術が精力的に研究されています。これにより1つのシンボルで多ビットの伝送を実現でき、周波数利用効率が大幅に向上します。そこで我々は、図1に示すように、OTDMによる高速化とQAMによる周波数利用効率の拡大を同時に実現するために、コヒーレント光パルスをQAMにより多変調しOTDMにより多重化を行うコヒーレントOTDM-QAM伝送を提案しています。

 本研究では、10Gsymbol/sのQAM信号に対してOTDM多重度の増大(80→160Gsymbol/s)、ならびにQAM多値度の拡大(32→64QAM)に取り組み、これまでに最大で1.92Tbit/sの伝送速度を達成しています。その150km伝送結果を図2に示します。本伝送では、テラビットを上回る伝送速度が10GHz程度で動作する電子デバイスと超高速動作するパッシブな光デバイスだけで実現できることから、超高速伝送システムの低消費電力化に有効であると期待されています。

図2 単一チャネル1.92Tbit/s, 64QAM超高速多値伝送実験

図2 単一チャネル1.92Tbit/s, 64QAM超高速多値伝送実験

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