Human Frontier Science Program Robotics-inspired Biology: Decoding Flexibility of Motor Control by Studying Amphibious Locomotion

2. 立ち上げの裏話

 これまで海外の研究者と共同研究を行なったことは何度かあるのですが、海外機関から国際的な共同研究を推進するための研究予算をいただくのは、筆者にとって初めての経験でした。そのため、チーム作りから申請書作成のためのブレインストーミング、原稿チェックなど、科研費の申請時とは異なる、得難い体験をすることができました。以下、少しだけ裏話をお伝えしたいと思います。

 筆者らの研究室では、ムカデが多数の脚をどのように巧みに協調させているのかについて研究を行なっています。ある時、水面に置いたらムカデはどのように振る舞うかという行動実験を行なってみたところ、脚を折りたたみ、身体をくねらせて泳ぐではありませんか! ムカデといえば地上を歩く姿しか思いつかなかったのですが、この時、動物というのは環境の物理的特性に応じて巧みに身体自由度の使い方を変える能力を持っていることに改めて驚きました。そのような時に、旧知の仲であるサンショウウオの水陸両用のロコモーションを研究しているスイスのProf. Ijspeert と一緒に参加したとある国際会議で、オタワ大学のProf. Standen がポリプテルスの示す水陸両用のロコモーションについての講演を聴きました。生物学者である彼女の研究内容をこの時初めて知りました。水陸両用のロコモーションに着目している稀有なメンバーが揃った瞬間でした。その後、三人で共同研究を行おうということになり、ダメ元でHFSP に申請してみようということになりました。申請書の内容や書き方についての議論はスカイプで行いました。ヨーロッパ、日本、カナダと地球上に見事に散らばっているので、スカイプでの議論は、早朝のカナダ、昼のスイス、夜の日本となりました。スカイプでの議論が日本時間では夜ということで、カメラに映らないようにビールを机の上に置いていたのは秘密です (^^)。

 最後になりましたが、通研の研究協力係、経理係、そして本部の知財部の方々には全力でサポートしていただきました。本当にありがとうございました! これから三年間、大いに楽しみながら未踏の研究領域を突っ走りたいと思います!

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