研究室訪問

情報デバイス研究部門

ナノ集積デバイス・プロセス(佐藤・櫻庭)研究室

ナノ集積デバイス研究分野 教授 佐藤 茂雄
量子ヘテロ構造高集積化プロセス研究分野 准教授 櫻庭 政夫

http://www.sato.riec.tohoku.ac.jp/

2. 脳型計算と量子計算の融合

 量子並列性により驚異的な計算能力を有する量子計算機は次世代計算機の有力な候補になっています。近年の超伝導量子ビットの成功により、ハードウェア的には実用化が大きく近づきつつあります。しかし、現時点では、量子計算がカバーしうる領域は最適化問題や因数分解などの限られたものであり、アルゴリズムの開発が大きな課題となっています。そこで私たちは、脳型計算の学習機能を量子計算に導入することで、自動的にアルゴリズムを獲得する量子計算機を実現することを目指しています。例えば、生体の神経回路で実現されている学習則を、量子ビット回路にも応用することができることや、そのようにして実現される量子ビットを用いた連想記憶が古典的な連想記憶に比べて優れた連想性能を示すことなどを明らかにしています。脳型計算はAI技術の発展において大きな役割を担っていますが、将来技術である量子計算の実用化においても重要な役割を担う可能性があります。

3. 次世代IV 族半導体デバイス・プロセス

図2:高濃度B ドープSi エピタキシャル成長薄膜のHall 効果素子断面構造

 半導体デバイスを高性能化・高機能化するために、ナノメートルオーダの極薄膜形成と拡散現象が抑制された急峻な接合界面の実現は重要です。本研究室では、SiH4 やGeH4、CH4 などの原料ガスの表面反応を、基板非加熱下の低エネルギーAr プラズマ照射によって制御する化学気相成長について研究しており、 Si、Ge、SiGe 混晶、SiC混晶などのIV族半導体のエピタキシャル成長や高濃度ドーピングを実現してきました。特に、本技術で開発された高い平坦性を有する歪緩和Ge薄膜をBドープSiエピタキシャル成長用の基板として用いることにより、高度歪Siナノ薄膜形成(図2)を実現し、キャリア移動度増大現象の観測にも成功しております。

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