Human Frontier Science Program Robotics-inspired Biology: Decoding Flexibility of Motor Control by Studying Amphibious Locomotion

 2017年度の Human Frontier Science Program の公募研究課題に、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Prof. Auke Ijspeert)、ならびに東北大学電気通信研究所(石黒)、オタワ大学(Prof.Emily Standen)の三ヶ国の研究者で構成されたわれわれの共同チーム(図1)が提案した新規プロジェクト“Robotics-inspired Biology: Decoding Flexibility of Motor Control by Studying Amphibious Locomotion” が採択され、9月より3年間の国際共同プロジェクトをスタートする運びとなりました。
 研究内容を述べる前に、まずはHuman Frontier Science Program(以下、HFSP)とは一体なにかについて説明させていただきます。HFSP は、1987年に開催されたヴェネチア・サミットにおいて、日本国政府により提唱された国際研究プロジェクトで、生体が持つ精妙かつ優れた機能の解明を中心とする基礎研究を国際的に協働して推進し、その成果を広く人類全体の利益に供することを目的として設立されました。HFPSの本部はフランスのストラスブールに置かれています。我が国がイニシアチブをとって立ち上げた国際研究プロジェクト機構であり、誇らしいことだと思います。残念ながら工学系ではさほど知られていませんが、生物系の研究分野においては、採択されることはきわめて名誉であると世界的にあまねく知られています。しかしながら、採択への道はきわめて厳しく、公表された2017年度の審査結果データによれば、応募チーム数は858、採択チーム数は21ということですから、採択率は約2.4%という大変狭き門となっています(毎年度このような厳しい採択率です)。
 以下、採択された研究プロジェクトの内容、ならびに立ち上げの裏話を述べたいと思います。

図1 三ヶ国の研究チームから構成する国際的な研究組織。

図1 三ヶ国の研究チームから構成する国際的な研究組織。

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