巻頭特集/戦略的創造研究推進事業CREST

プロジェクトの目的と特色・成果

 本研究は、現在のSi-CMOS VLSI技術に整合するグラフェン集積デバイスの開発を目的として策定しました。具体的には、(1)GOSヘテロエピタキシャル成長技術、(2)GOSによる電界効果トランジスタ(GOS-FET)を要素とする相補的論理エレメントCGOS(Complementary GOS)を用いた超高速論理集積回路技術、(3)電子輸送限界を越えたプラズモン共鳴型新原理GOSデバイスPRGOS(Plasmon Resonant GOS)技術の開発を柱としています(図1)。研究チームは、東北大通研(尾辻泰一教授(研究代表者)・末光哲也准教授グループ、末光眞希教授・吹留博一准教授グループ)を中心に、会津大(RYZHII Victor教授・RYZHII Maxim准教授グループ)および北大(佐野栄一教授グループ)と組織し、バイタリティあふれる助教、ポスドクの若手研究者や大志を抱く大学院学生諸君を含む総勢40名弱のメンバーが有機的連携のもとに研究を推進し、これまでに以下の成果を得ました。

図2  GOS製膜技術の開発

図2 GOS製膜技術の開発

GOS(末光教授・吹留准教授グループ):Si基板上へSiCをエピ成長し、熱分解によってSiC表面をグラフェン化するという独自のヘテロエピタキシャルグラフェン成長技術を他に先駆けて創出しました。さらに、Si基板面方位とSiC成長条件によってグラフェンの積層様式の選択的制御が可能であることを発見し、メサエッチングによる局所的なGOS形成によって、PRGOSに必要な単層グラフェンの性質を保った多層化グラフェンとCGOSに必要なバンドギャップが発現する多層化グラフェンとを選択的に同一基板上に形成する技術を開発しました(図2)。この局所的GOS形成技術は、格子歪の緩和にともなう結晶品質向上にも有効です。これによって、Si-CMOSとCGOS、PRGOSの完全モノリシック集積化の見通しが得られました(図2,4)。

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