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産学官研究開発部 A I ハードウェアセキュリティプロジェクト

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産学官研究開発部 A I ハードウェアセキュリティプロジェクト

来るべき超スマート社会においては、自動車や産業用・家庭用ロボット、オーダーメイド医療などの応用において多種多様な物理・生体データを収集・統合し、そこから獲得された知識を活用する個別的・総合的なサービスが期待されている。一方で、将来こうしたサービスを利活用・拡大する上でセキュリティは不可分な課題とされている。特に、暗号技術は現代セキュリティの基盤技術であり、人工知能(AI)が浸透する今後の社会においても暗号技術をコアとした強固なセキュリティ技術が求められている。

IT-21 センターでは、これまで次世代の情報通信技術の研究開発を産学連携プロジェクトにより推進してきた。2025年度より、AIが浸透する社会における高安全な情報通信技術の確立を目指して、AIに係るセキュリティ(AIセキュリティ)の研究開発を推進する新たなプロジェクトを発足させた。

本プロジェクトでは、各種攻撃に対して高い耐性・頑健性を有する暗号ハードウェアの研究開発を主な目的とする。身近な端末やエッジでの実装を想定した場合、サイバー攻撃に加えて物理攻撃(システムに物理的にアクセスして情報の収奪や改ざん等を行う攻撃)が重大なリスクとなる。その中でも現実的な脅威とされるのが、システム動作中の副次的な物理量(消費電力・放射電磁波・演算時間など)を利用して秘密情報や制御を非破壊・非侵襲に収奪するサイドチャネル攻撃である。たとえ量子計算機にも頑健な次世代暗号であっても、こうしたサイドチャネル攻撃を含む物理攻撃への耐性を考慮した実装が必須となる。以上の背景から、本プロジェクトでは、AIを利用する高度な物理攻撃とその対策技術の研究開発を推進する。

具体的には、令和6年度から受託したJST K Program「人工知能(AI)が浸透するデータ駆動型の経済社会に必要なAIセキュリティ技術の確立」の研究構想における「AIハードウェアセキュリティ技術の開発」という産学連携プロジェクトを中心に研究開発を行っている。本プロジェクトを通して、AIセキュリティ技術の社会実装・産学連携の振興にも貢献することを目標にしている。

Fig.1 研究対象の概要
Fig.2 機械学習を利用するサイドチャネル攻撃