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第1057回学術講演会

日時:2009年11月26日(木)14:30~16:00
場所:東北大学大学院工学研究科 電子情報システム・応物系1号館 103会議室
演題:「150年前のプロジェクトX ―大西洋横断電信ケーブルが世界を変えた―」
講師:白崎勇一氏(マリン・エコ・テック 代表取締役, 東京大学生産技術研究所 research fellow)
主催:電気学会東北支部
共催:超音波エレクトロニクス研究会、音響工学研究会、伝送工学研究会


第1057回学術講演会開催案内

  • 日時:2009年11月26日(木)14:30-16:00
  • 場所:東北大学大学院工学研究科 電子情報システム・応物系1号館 103会議室
  • 主催:電気学会東北支部
  • 共催:超音波エレクトロニクス研究会、音響工学研究会、伝送工学研究会
  • 演題:「150年前のプロジェクトX ―大西洋横断電信ケーブルが世界を変えた―」
  • 講師(所属、役職):白崎勇一 氏
    (1:マリン・エコ・テック 代表取締役,  2:東京大学生産技術研究所 research fellow)
  • 講演要旨:
    19世紀半、現在の海洋学や海洋工学、電気工学が生まれる前、イギリスとアメリカを結ぶ大西洋横断海底電信ケーブルの建設という無謀とも思えるプロジェクトに挑戦した米国の企業家と英国の科学者・技術者がいた。英国は国家を挙げてこのプロジェクトに協力し、10年余の間の度重なる失敗にもめげず、ついに5回目の工事で成功させる。
    明治維新(1868年)の2年前のことである。それまで産業革命発祥の国である英国は、新興のドイツ、アメリカの産業との競争に苦戦していたが、この後、全世界に海底ケーブル網を構築し、政治、経済、産業、軍事で世界をリードし続けることになる。
    大西洋横断電信ケーブルの歴史は、全く新しい技術開発では必ず遭遇するトラブル・失敗と、それらを克服していくプロジェクト管理手法、大型プロジェクトに対する政府の役割、完成した技術が開発者の予想を超えて急速に世の中を変えていく様子、明治維新を迎えたばかりで、世界の科学・技術から大幅に立ち遅れた日本はどう対応したかなど、科学・技術史としてだけではなく、政治・経済・社会史としても大変興味深い。
    本講演では、大西洋横断電信ケーブルの建設にかかわる技術史・社会史、そのキーマンでもあった天才物理学者ウイリアム・トムソン(ケルビン卿)の話、ケルビン卿と日本の大学での工学教育との密接な関係などを紹介する。