多感覚情報統合認知システム研究室

東北大学脳科学センター

[ 教授(兼)] 坂井 信之 
[ 助教(兼) ] 山本 浩輔

研究活動

電気通信研究所がこれまでに蓄積してきたソフトウエアや人間情報に関する研究実績をさらに発展させ、将来にわたって情報通信分野の研究を先導し続けるための新分野の開拓を本研究分野の目的とする。電気通信研究所設置当初から続く音情報、聴覚関連研究分野および平成16年度の改組で設置された視覚に関する研究分野に加えて、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感すべての情報を扱うために必要な基盤的研究を行う本研究分野を設置することで、今後多感覚化が進むことが予想される情報通信分野を牽引し、発展に大きく貢献することを目指す。本研究分野は今後の情報化社会での情報の質評価における重要性から、電気通信研究所が文学研究科など他部局と連携して立ち上げたヨッタインフォマティクス研究センターとの連携も想定している。プロジェクトの推進には、他大学・研究機関の研究者だけでなく、産業からも研究者・技術者を多く受け入れ、本研究分野で得られた成果・知的財産権は、電子情報通信学会や心理学関連学会、神経科学関連学会などで発表するだけでなく、情報システム、食品・日用品製造業など、産業界へも展開する。

多感覚情報統合認知システム研究分野(坂井教授)

本研究分野では、食物や日用品の化学・物理的組成をヒトがどのように知覚し、認知するかについての心理学および脳科学の基礎的な知識を得ることを目的としている。また、これらの知見を製品等の開発研究に役立てるべく、企業の研究者・技術者の方と一緒に応用研究もおこなっている。
本研究分野で中心的に扱う味覚や嗅覚、化学的刺激感覚(辛味やミント味)などの化学感覚については、視覚や聴覚に比べてシステミックな研究はあまり多くない。一方で、嗅覚による味覚増強効果や口腔内体性感覚による味覚刺激効果など、種々の現象についての存在が知られ、広く製品に応用されてきた。本研究分野では、ヒトの外界認知に関わる現象を多感覚情報統合の結果と捉え、その心理学や脳基盤について明らかにすることを目指している。例えば、これまで醤油香による塩味の増強効果の発現に関する認知特性およびそれを支える脳基盤を明らかにし、その知見を減塩食へ応用する可能性を探る研究に取り組んでいる。
 また、実際の生活において、我々ヒトは、食品や日用品を目で認知するだけで選択している。この過程には視覚による商品の知覚と認知、その摂取あるいは使用経験についてこれまでの経験による記憶に基づく予期の形成、それぞれの持つ商品特性に対して向ける注意の方向づけなど、様々な心理学・脳科学的背景がある。本研究分野ではこれらの一連の情報の流れについても視線計測装置や全頭型NIRSなどを用いてアプローチしていく。

研究テーマ

○味覚・嗅覚を中心とする多感覚情報統合システムの理解に関する研究
○多感覚情報統合の産業応用に関する研究

嗅覚実験装置(防音シールド室内)
図2 全頭型NIRSを使った生理計測