第21回生体・生命工学研究会

第21回生体・生命工学研究会

研究会名:第21回生体・生命工学研究会
開催日:2009年10月22日(木)13:30~17:40
開催場所:電子情報システム・応物系 南講義棟103会議室(D18)


生体・生命工学研究会のご案内

東北大学電気通信研究所
工学研究会分科会 生体・生命工学研究会
主査 中尾光之
幹事 松宮一道,片山統裕

 

第21回生体・生命工学研究会の開催を下記の要領で予定しておりますので,多数ご来聴くださいますよう,ご案内申し上げます.
学外の方もご自由にご参加下さい.

プログラム

特別講演1(13:30-14:30)

・講師:小山内実先生(医学系研究科・保健学専攻医用画像工学分野・准教授)

・タイトル:大脳基底核線条体における自発カルシウムリズム

・概要:神経細胞はネットワークを形成し、それにより情報を処理している。神経ネットワークは、同じ回路で、状況に応じて異なる情報処理様式を呈することが最近分かってきた。これを神経ネットワークの状態遷移と呼ぶ。この神経ネットワークの状態遷移は細胞の状態遷移に起因していると考えられる。つまり、神経細胞のネットワークは、同じ結合を保ったままで、ネットワークにおける情報処理様式を変化させていることになる。大脳基底核線条体では、強化学習中、あるいはパーキンソン病により状態が遷移することが知られており、状態遷移のメカニズムを研究するためには良いモデル系である。細胞内カルシウムイオン (Ca2+) は、受容体やチャネルをはじめとする様々な細胞内タンパク質の活性を調節しており、細胞の状態遷移にとって重要である。例えば Ca2+ 依存性 K+ チャネルを介した膜電位の変化が、神経細胞の入出力特性を変化させることが知られている。我々は、ラットおよびマウスの大脳基底核線条体において、持続時間の長い細胞内 Ca2+ リズムを発見し、この Ca2+ リズムが、自発的、かつ細胞連関的に発生することを見出した。この Ca2+ リズムは、活動電位を阻害しても消失せず、薬理学的な実験により、主に IP3受容体を介した小胞体からの Ca2+ 放出に起因するものであることが分かっ た。つまり、この Ca2+ リズムは神経活動そのものを反映しているのでは無く、代謝型受容体を介して修飾を受ける、細胞の内部状態を規定する因子であると考えられる。本会では、この自発Ca2+ リズムの特徴を示し、時系列解析、薬理学実験の結果や、ニューロンとグリアでの差異について紹介する。


特別講演2(14:45-15:45)

・講師:笹井一人先生(電気通信研究所・やわらかい情報システム研究センター・助教)

・タイトル:生物学的システムにおけるヘテラルキー構造と、開放型MASへの応用について

・概要:生物学的システムにみられるヘテラルキー構造は、数学的なプログラムが持つ、階層間の完全な従属関係を条件とするヒエラルキー構造とは異なり、相互作用による従属関係の変化を許容する、動的な階層構造をなす。このような構造においては、あるサブシステムが、それを含む上位システムと相互作用する為に、その形式的記述は、自己言及的矛盾を本質的に含む。自己言及的矛盾を含む形式は、力学的なゆらぎ、カオスを示すが、実際の生物学的システムは、これらの矛盾をものともせず、カオスに崩壊する事なく、その機能を維持することができる。本発表では、まず自己言及とフレーム問題という二つの形式的記述における矛盾をとりあげ、ヘテラルキー構造は、これらの矛盾が互いを動的に補完し合う形で成立可能であることを示す。次に、生物学的なシステム、特にここでは酵素反応系を取り上げて、そのヘテラルキー性について上記を用いた分析を行う。またこれらの応用として、開放型のマルチエージェントシステムにおける、ヘテラルキー構造の有効性と、その実現方法について簡単な考察・検討を行う。

一般講演(16:00-17:40 ,1件につき発表15分+質疑5分)

・細胞外活動電位波形に基づく細胞の位置推定法に関する検討

孫昊,片山統裕,久保貴嗣,辛島彰洋,中尾光之(東北大学大学院情報科学研究科)

・視線位置の確率分布予測に基づいた視覚的注意モデルの構築

伊東孝幸 松宮一道 栗木一郎 塩入 諭(東北大学大学院情報科学研究科/電気通信研究所)

・視覚表象システムと触運動システムの関係の考察

山崎隆紀 松宮一道 栗木一郎 塩入 諭(東北大学大学院情報科学研究科/電気通信研究所)

・視覚マスキングによる運動処理メカニズムの時空間周波数特性

原田智紀 栗木一郎 松宮一道 塩入 諭(東北大学大学院情報科学研究科/電気通信研究所)

・視線移動を考慮した動画像統計解析

田村隼 松宮一道 栗木一郎 塩入 諭(東北大学大学院情報科学研究科/電気通信研究所)

問い合わせ先

電気通信研究所

塩入・栗木研究室
松宮 一道

内線:5469(片平)
E-mail:kmatriec.tohoku.ac.jp