国立大学法人東北大学電気通信研究所公式ウェブサイト|Research Institute of Electrical Communication Tohoku University

レーザー用結晶上に磁気光学結晶を成長 -フォトニクスとスピントロニクスの架け橋材料に-

【発表のポイント】

  • 現在、レーザーに使われる結晶と磁気光学の結晶は別々に使用されています。両方の機能を一度に活用したい場合、これら2つの結晶を接着したり、高精度に配置したりする必要がありました。
  • 磁気光学結晶をレーザー結晶上で成長させ磁気光学効果を確認しました。
  • 磁気と光の両方の性質を活かし、磁気で制御する小型ハイパワーレーザーデバイスや、高速・高精細なディスプレイなど新デバイス実現に貢献することが期待されます。

【概要】

磁気と光を組み合わせた新しいデバイスは、動作に電子の流れを用いないため、現代の電子デバイスがもつ発熱や動作の遅さなどの課題を解決すると期待されています。これまで、磁気の特性と光の特性をもつ結晶を組み合わせる形でデバイス開発が行われてきました。しかし、デバイスのさらなる進化のためには、磁気と光の両方の特性をもつ結晶が求められていました。
東北大学電気通信研究所の後藤太一准教授らは、磁気特性に優れた結晶と、発光特性に優れた結晶(レーザー結晶)を一体化することを目指しました。イオンビームスパッタ法と呼ばれる手法を用いて、レーザー結晶上に磁気光学結晶を成長することができ、大きな磁気光学効果を確認することができました。
今後、研究グループは今回開発した結晶の光学的な特性も確認し、優れた磁気光学効果を持つデバイス開発へと展開予定です。具体的には、磁気で制御する小型ハイパワーレーザーデバイスや、高速・高精細なディスプレイなどの開発に貢献することが期待されます。
本成果は9月13日、応用物理学分野の専門誌 Applied Physics Letters に掲載されました。

【用語解説】

注1. イオンビームスパッタ法:イオンビームスパッタ法は、高エネルギーのイオンビームを材料表面に照射して、表面の原子や分子を物理的に蒸散させる技術です。微細な膜の作製に使用されることが多いです。

詳細

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学 電気通信研究所
准教授 後藤太一
TEL: 022-217-5489
Email: taichi.goto.a6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えて下さい)

(報道に関すること)
東北大学 電気通信研究所 総務係
TEL: 022-217-5420
Email: riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えて下さい)