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平成23年度 第三回ブレインウェア工学研究会

研究会名:平成23年度第三回ブレインウェア工学研究会

開催日:2011年12月21日(水)13:30~17:00

開催場所:東北大学電気通信研究所ナノ・スピン総合研究棟4階カンファレンスルーム

備考:学術講演会(電気学会東北支部主催)


平成23年度 第三回ブレインウェア工学研究会

東北大学電気通信研究所
中島 康治

下記により研究会を開催いたしますので、多数ご来聴下さいますようご案内申し上げます。

なお、本研究会に先立ち同日12月21日午前に、本研究会講演者の井上淳樹様による学術講演会(電気学会東北支部主催、題目「世界最高速スーパーコンピュータ”京”の開発について」)も予定されておりますので、併せてご案内申し上げます。

  • 日時:2011年12月21日(水)13:30~17:00
  • 場所:東北大学電気通信研究所ナノ・スピン総合研究棟4階カンファレンスルーム
  • アクセス:https://www.riec.tohoku.ac.jp/access
  • プログラム
13:30-14:20 講師: 木村 真一(東京理科大学)
題目: 「宇宙のゴミ回収と自律適応技術」
要旨: 通信放送衛星や気象衛星、カーナビなので活用されている衛星測位システムや災害監視など今や人工衛星は日々の生活に欠かせないものになっている。宇宙ステーションや宇宙旅行と言った本格的な有人宇宙時代を迎え、近年使用済みの衛星やロケット等から放出される宇宙ゴミが深刻な問題となっている。このような宇宙ゴミはすでに自己増殖フェーズに入り、ロボット衛星を用いた積極的な除去が国際的に検討されている。これに対し、宇宙システムを構成する機器は高い信頼性が要求されるため、実績が過剰に重視される傾向にあり、一般に非常に高価で、能力が低い。こうした軌道上での保全を実現するためには、非常に高い自律性をコスト的な制約の下で実現する必要があり、「故障しないシステム」から「故障を許容しつつ機能を実現するシステム」パラダイムシフトが必要である。我々は、民生部品を積極的に活用し、ソフトウエア的な故障適応技術を導入することで、低コストで高機能な搭載機器の開発を進めてきた。その成果が2010年に打ち 上げられた小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの監視カメラに活用されるなど一定の実績を上げており、ここではその概要について紹介する。
14:20-15:10 講師: 久保田 繁(山形大学)
題目: 「シナプス回路形成におけるNMDA受容体のサブユニット発現の役割について」
要旨: NMDA受容体は、NR1とNR2(NR2A-D)サブユニットから構成される4量体タンパク質であり、NR2サブユニットの構成比によって、受容体を通過するシナプス電流の機能的特性(減衰時間や膜電位依存性等)が変化することが知られている。さらに、異なるサブユニットの発現パターンが、発達段階、神経活動レベル、細胞種によって著しく変化することは、遺伝子発現を通じて、NMDA受容体チャンネルの特性が時空間的に制御されていることを示唆している。本研究では、このサブユニット発現が、皮質回路の組織化に及ぼす影響について検討するため、既存の実験データに基づいて、NMDA受容体がシナプス可塑性(STDP)に及ぼす影響をモデル化し、シナプス集団のダイナミクスを解析した。その結果、NMDA受容体発現が、シナプス発達速度、LTP/LTDバランス、入力相関に依存したシナプス競合といった、神経回路の持ついくつかの重要な特性を制御し得ることを明らかにした。
15:10-15:20 (休 憩)
15:20-16:10 講師: 高橋 知宏(ソニー)
題目: 「CMOSイメージセンサの高速読出し技術」
要旨: 固体撮像素子において高速読出しはカメラの連射性能の向上や、高フレーム レートによる滑らかな映像を実現する重要な特徴のひとつである。ソニーではセンサ内で列並列に積分型A/D変換器を搭載したカラムA/D技術により、低ノイズかつ高速な読出しを実現してきた。本講演では更なる高速化技術として、ハイブリッドカウンタ技術を活用した高周波数で動作可能なA/D変換技術と、位相差クロックを用いて周波数を上げずに時間分解能をあげるカラムTDC(Time-to-Digital Converter)技術と2つのアプローチについて紹介する。
16:10-17:00 講師: 井上 淳樹(富士通研究所)
題目: 「エネルギー収支を考慮した電源制御LSIの設計制約」
要旨: 電源電圧制御技術を使った低消費電力LSIが設計環境の整備によって汎用プロセッサだけでなく、ASICにも応用の広がりを見せている。電源制御の制御粒度を空間もしくは時間方向に細かくすることにより、より低電力化できるのではないか?という期待がある。しかしながら、時間方向の細粒度制御においては、エネルギー収支による制約が存在する。本講演では、電源制御の代表的な方式であるPower GatingとDVFS技術において、このエネルギー収支に注目したときに、時間方向細粒度制御の設計上の制約について簡単なモデルによる理論的考察結果を示す。

問い合わせ先

東北大学電気通信研究所
中島研究室 伊藤

TEL&FAX 022-217-5558