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平成24年度(第2回)RIEC Award受賞者

概要

審査に基づきご推薦をいただいた候補者中から、平成24年度の受賞者として下記の5名を受賞者と決定いたしました.
授賞式は,仙台フォーラム2012(2012年11月9日)にて執り行われました。

RIEC Award本賞

白石 誠司 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)

業績

「IV族材料を用いた新しいスピントロニクスの研究」

授賞理由

白石氏は、その発展が強く希求されていた分子スピントロニクスにおいてグラフェンへの非局所室温スピン注入、C60を介した超巨大磁気抵抗と新規電気磁気効果の発見などの革新的業績を挙げこの分野の本格的反転を世界的に牽引しました。さらに同じIV族材料であるシリコンを対象に産官学共同研究を推進し世界初の室温スピン輸送・純スピン流物性の解明など本領域をリードする多くの業績を挙げました。その研究成果は、本賞にふさわしいものと高く評価されました。

RIEC Award 東北大学研究者賞

本間 尚文 氏(東北大学大学院情報科学研究科)

業績

「VLSI向け算術アルゴリズムの高水準設計技術とその応用に関する研究」

授賞理由

本間氏は、複雑化するVLSIデータバスの設計問題を解決する新しい設計パラダイムとして算術演算回路のハードウエアアルゴリズムの高水準な記述・検証・合成技術を開拓しました。また、同研究の応用により、実用的な暗号回路の完全な検証に世界で始めて成功するなど、暗号処理LSIの高信頼設計・実装安全性解析技術に関する優れた成果を挙げました。その研究成果は、本賞にふさわしいものと高く評価されました。

廣岡 俊彦 氏(東北大学電気通信研究所)

業績

「超短光パルスを用いた超高速光伝送とその高度化に関する研究開発」

授賞理由

廣岡氏は、超高速伝送において伝送時の信号パルスに付加されるあらゆる線形波形歪みを、受信端において一括除去する新しい光伝送方式 “時間領域光フーリエ変換法” を提案しました。本方式により、160Gbit/s/ch – 1000km、1.28Tbit/s/ch – 500km、2.56Tbit/s/ch – 300km などの超高速長距離伝送に世界で初めて成功し、超高速長距離伝送の道を切り開いきました。その研究成果は、本賞にふさわしいものと高く評価されました。

RIEC Award 東北大学学生賞

Liu Jiajia 氏(リュウ ジャジャ)(東北大学大学院情報科学研究科)

業績

「マルチホップ無線ネットワークにおける協調リレー通信の性能解析」

授賞理由

Liu氏は、マルチホップ無線ネットワークにおける協調リレー通信において、通信性能の期待値の評価・解析のための高度なモデルを確立しました。そのモデルは異なるリレー方式に適用可能であり、スループットや遅延等の性能が時間的に大きく変動する状況においても通信性能の評価・解析が可能となりました。その研究成果は、本賞にふさわしいものと高く評価されました。

石原 翔太 氏(東北大学大学院情報科学研究科)

業績

「自律的低消費電力化に基づくリコンフィギャラブルVLSIアーキテクチャに関する研究」

授賞理由

石原氏は、非同期式回路のデータ到来情報を容易に利用できることに着目した細粒度パワーゲーティングの開発に世界で初めて成功しました。 それにより電源スイッチ制御回路のオーバーヘッドがほとんどない、LUT (Look-Up Table) 単位で制御可能な細粒度パワーゲーティングを実現し、静的消費電力を大幅に削減できることを実証しました。その研究成果は、本賞にふさわしいものと高く評価されました。

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