概要
この度、厳正な審査に基づきご推薦をいただいた候補者中から、平成25年度の受賞者として下記の5名を受賞者と決定いたしました。
授賞式は,東京フォーラム2013(2013年11月21日)にて執り行われました。
RIEC Award本賞
原田 博司 氏 (情報通信研究機構)
業績 |
ソフトウエア無線・コグニティブ無線・ホワイトスペース通信技術に関する先駆的研究開発および標準化」 |
授賞理由 |
原田氏は,複数の通信システムをソフトウエアで切り替えるだけで1台の無線機で実現するソフトウエア無線機の開発を世界で初めて成功しました。さらに400MHz-6GHz帯の周波数において無線リソースを探索し,リソースにあわせて通信方式等を適宜使い分けるコグニティブ無線機も世界に先駆けて開発しました。この無線機実現のための要素技術をIEEE国際標準に提案し標準方式として採択され,現在その一部はホワイトスペース通信として世界中で実用化されつつあります。氏の研究成果は高く評価され,本賞にふさわしいものと認められました。 |
RIEC Award 東北大学研究者賞
深見 俊輔 氏 (東北大学省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター)
業績 |
「集積回路用低消費電力・高速・高信頼磁壁移動素子の研究開発」 |
授賞理由 |
深見氏は,強磁性細線中の磁壁の確率的な振る舞いを実験,理論の両面から調べ,磁壁移動素子が優れた高速・高信頼性能を有することを明らかにし,磁壁移動素子はナノ秒の時間スケールで極めて高い確率で制御できることを示しました。また,熱揺らぎの影響を考慮することで実験結果のモデル化にも成功しました。氏の研究成果は高く評価され,本賞にふさわしいものと認められました。 |
伊藤 健洋 氏 (東北大学大学院情報科学研究科)
業績 |
「解空間の遷移性に基づく新しいアルゴリズム開発」 |
授賞理由 |
伊藤氏は,解空間の遷移性を問う問題を理論的に体系化し,精度を保持した解空間の近似手法や,グラフ構造を利用した遷移ステップ数の上下限の解明など,様々なアルゴリズム手法を世界に先駆けて研究開発しました。伊藤氏の研究を機に遷移問題に関する研究は世界的な注目を集め,数多く発表される研究分野として発展しています。氏の研究成果は高く評価され,本賞にふさわしいものと認められました。 |
RIEC Award 東北大学学生賞
渡辺 隆之 氏 (東北大学大学院工学研究科)
業績 |
「グラフェン内表面プラズモンポラリトンによるテラヘルツ巨大利得増強作用に関する研究」 |
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授賞理由 |
渡辺氏は,光学励起グラフェンにおいて理論予測された表面プラズモンポラリトン励起による巨大テラヘルツ利得を,独自の近接場・光ポンプ・テラヘルツプローブ・光プローブ法により,他に先駆けて実験検証に成功しました。これは,通常のバンド間遷移に伴うフォトン誘導放出による利得に比して50倍を超える高い利得増強作用の室温下での観測であり,氏の研究成果は高く評価され,本賞にふさわしいものと認められました。 |
山本 哲矢 氏(東北大学大学院工学研究科)(平成24年度修了)
業績 |
「広帯域シングルキャリア移動無線通信における最尤検出原理に基づく周波数領域信号検出に関する先駆的研究」 |
授賞理由 |
山本氏は,広帯域シングルキャリアブロック伝送の伝送特性を改善するために,演算量を大幅に削減しつつ最尤検出に近いビット誤り率特性を達成できる周波数領域信号検出を提案しました。これは,周波数およびエネルギー利用効率に優れた次世代広帯域移動無線システムの実現に寄与する成果であり,氏の研究成果は高く評価され,本賞にふさわしいものと認められました。 |