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令和5年度(第13回)RIEC Award 受賞者

概要

 この度、ご推薦をいただいた候補者から、厳正な審査に基づき、令和5年度の受賞者として下記の2名を受賞者と決定いたしました。
 授賞式は、東北大学電気通信研究所 情報通信共同研究拠点 令和5年度 共同プロジェクト研究発表会―新世代ICTの羅針盤~通研共同プロジェクトからのメッセージ~(令和6年2月15日(木))にて執り行われます。

RIEC Award 本賞

山本 英明 氏 (東北大学 電気通信研究所)

業績「マイクロ加工基板を用いた大脳皮質神経回路の培養系モデルの開発と応用」
授賞理由山本氏は、脳神経回路を生体外に再構成することを通じてその機能を構成論的に解析する研究とその工学応用に関する研究に取り組み、パイオニア的成果をあげられました。
マイクロ加工基板を用いた培養神経回路の構造制御技術を先端計測技術と融合させることにより、生物の脳がバイオ素子に基づいて実現する情報処理を構成論的に解析するための新しい実験系を創成し、特に、生物の脳神経系で進化的に保存されているモジュール構造に焦点を当て、高次元の神経ダイナミクスが安定に保持される回路的メカニズムを構造機能相関の観点から明らかにし、さらにレザバー計算の理論を用いて刺激応答パターンを読み出すことで、適度な高次元性を有する動的状態の計算論的意義を明らかにされました。
これらは、脳機能の神経基盤の理解に関する基礎研究として重要なことはもちろん、次世代の超スマート社会を支える新しい情報通信技術、そして超高齢化社会を支える次世代医療技術に直結する重要な成果で、今後のさらなる発展が期待されることから、RIEC Award本賞にふさわしいものと認められました。

RIEC Award 東北大学学生賞

Yoon Ju-Young 氏 (東北大学 大学院工学研究科 博士後期課程3年)

業績「ノンコリ二ア反強磁性体の電気的制御に関する研究」
授賞理由Yoon氏は共同研究者と協力して、これまで未開拓領域であったノンコリ二ア反強磁性体の電気的制御に関して、独自の考察に基づき未開の物理の解明に適したエピタキシャル薄膜試料の作製に世界で初めて成功されました。
また、それを用いて従来の磁性体では観測されなかった新奇物理現象を発見し、その機構を解明されました。得られた知見は、機能性スピントロにクス素子応用への新基盤を提供し、超高性能低消費電力メモリ・発振器・乱数生成器などの実現に繋がると期待されます。研究業績と発展性ともに非常に優れており、当該分野の進歩に大きく貢献していると高く評価され、氏のさらなる飛躍が期待されることから、RIEC Award東北大学学生賞にふさわしいものと認められました。

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